Claude Code(クロードコード)に仕事を任せていると、「毎回これをやって」と頼んだことを、AIがときどき忘れます。手引きに書いてあっても、忘れます。それを防ぐのが「フック」です。決まった場面になると、決めておいた確認が必ず動きます。当社では、AIの作業を記録に残す決まりを、フックで守らせています。
この記事では、フックの仕組みを、当社で実際に動かしている例で説明します。あわせて、使ってわかった注意点を紹介します。
先に要点を3つ挙げます。
- フックは、決まった場面で必ず動く仕掛けです。 AIが思い出すかどうかに、任せません。
- できるのは、声をかける・止める・知らせることです。 判断の要る仕事そのものは、AIが行います。
- フックにも、見えない作業があります。 何を見張れていないかを、知っておく必要があります。
Claude Codeのフックとは:出口に立つ確認係
たとえるなら、職場の出口に立つ確認係です。帰ろうとする人に、毎回「日報は書きましたか」と声をかけます。書いていなければ、席に戻ってもらいます。手引きを配るだけでは、忙しい日に読み飛ばされます。確認係は、相手の調子に関係なく、同じ場面で同じことを聞きます。
公式の説明では、フックは、使う人が決めた命令を、Claude Codeが決まった場面で動かす仕組みです。ねらいは、AIが自分で選ぶのを当てにせず、決めた動作を必ず起こすことだとされています。
これまでの記事で紹介した2つと並べると、違いがわかります。
| 中身 | 守られ方 | |
|---|---|---|
| スキル | 仕事の手引き | AIが読んで従う |
| メモリ | 引き継ぎメモ | AIが参考にする |
| フック | 確認の仕掛け | 決まった場面で必ず動く |
スキルはClaude Codeのスキルとはで、メモリはClaude Codeのメモリとはで紹介しています。メモリの記事で「必ず止めたい操作は、別の仕組みで止めます」と書きました。その仕組みの1つがフックです。
フックが動く場面
フックは、1回のやり取りの中の、決まった場面で動きます。よく使う場面は、次の4つです。

「道具」は、ファイルの書きかえや、命令の実行など、AIが手を動かす操作のことです。
| 場面 | できること | 使い道の例 |
|---|---|---|
| 指示を送ったとき | AIにひと言そえる | 決まりを思い出させる |
| 道具を使う前 | 操作を止める | 大事なファイルを守る |
| 道具を使った後 | 後始末をする | 書式をそろえる |
| 返答を終えるとき | 引き止める | やり残しを確かめる |
公式の一覧には、ほかの場面もあります。たとえば、AIが人の返事を待っているときに、画面へ通知を出せます。
1つ気をつける点があります。「使った後」のフックは、済んだ操作を取り消せません。止めたい操作は、「使う前」で止めます。
当社の実例:作業の記録を忘れさせない
当社では、AIに頼んだ仕事を、1件ずつ課題管理の道具(Linear)に記録しています。何を頼み、AIが何をして、何が残っているかを、あとから追えるようにするためです。
手引き(スキル)にも、「作業をしたら記録を書く」と書いてあります。ただ、手引きを開くかどうかは、AIの判断です。「指示を受けたら必ず」とは言い切れません。そこで、フックを2つ組み合わせました。

1つ目のフックが、AIに届ける文は次のとおりです。当社の文を短くした例です。
[linear-worklog]
この会話の記録先は
まだありません。
作業の依頼なら、
先に記録先を
作ってください。大事なのは、役割の分け方です。フックが伝えるのは、「記録先がまだない」という事実だけです。それが作業の依頼かどうかは、AIが判断します。質問に答えるだけの会話なら、AIは記録を作りません。機械的に確かめられることはフックに、判断はAIに、と分けています。
設定は、設定ファイル(settings.json)に「どの場面で、何を動かすか」を書きます。いちばん小さな形は、次のとおりです。
{
"hooks": {
"Stop": [{
"hooks": [{
"type": "command",
"command": "~/log.sh"
}]
}]
}
}「Stop」が、返答を終えるときを指します。「command」の行に、動かしたい確認のプログラムを書きます。
入れてからの効き目
フックを入れてから、約10日間の記録を調べました。

- 8割強の会話で、AIが記録を付けました。 残りの1割強では、AIは記録を作っていません。質問や、短い返事だけのやり取りが、これに当たります。
- 記録を付けた会話の2割弱で、フックが引き止めました。 およそ6つに1つです。AIが記録を書かないまま、返答を終えようとしていました。手引きに書いてあっても、これだけ抜けます。
この記事を書いた会話でも、フックが動きました。人からの依頼は「今日の技術記事書いて」のひと言です。送った時点で、フックが「記録先がまだない」と伝えました。AIは、書き始める前に記録先を作っています。
AIに任せた仕事の中身は、AIエージェントの活用事例にまとめています。
使ってわかった注意
- フックに見えない作業があります。 当社の2つ目のフックが見分けるのは、ファイルの書きかえや、公開の操作など、決まった形の作業だけです。ブラウザーの操作や、外のサービスへの書き込みは、見分けられません。そこは手引きに書いて、AIの判断に任せています。フックを入れても、手引きは要ります。
- 引き止めるのは、1回だけにします。 終わるたびに引き止めると、AIが返答を終えられません。公式の説明でも、引き止めた直後かどうかを確かめて、直後なら通すように、とあります。8回続けて引き止めると、Claude Codeの側で打ち切られます。
- フックが壊れても、仕事は止めません。 当社のフックは、想定外のことが起きたら、何もせずに通します。記録が1件抜けるより、仕事が止まるほうが困るからです。危ない操作を止めるフックなら、逆に、迷ったら止めます。どちらに倒すかは、目的で決めます。
- 置いた時点で、ほかの会話にも効きます。 設定の変更は、動いている会話にも読み込まれます。当社では、この仕組みの手引きを置いた時点で、動いていた別の会話が、仕上げ前の版を使い始めました。確かめた範囲では、壊れた箇所はありませんでした。それ以来、試作は別の場所で作り、仕上げてから置いています。
- フックの中身は、パソコンの上で動くプログラムです。 ほかの人が作ったフックは、中身を読んでから入れます。人が見ていない自動の実行では、当社のフックは動かないようにしています。勝手に記録が作られるのを防ぐためです。
よくある質問
フックを作るのに、プログラムの知識は要りますか
中身は小さなプログラムなので、自分で書くなら知識が要ります。当社のフックは、AI(Claude Code)に作らせました。人が決めたのは、何を必ず守らせたいかと、記録の分け方です。
設定したフックは、どこで確かめられますか
ターミナル(文字で操作する画面)のClaude Codeで「/hooks」と打つと、設定されているフックが、場面ごとに並びます。
スキルやメモリがあれば、フックは要りませんか
ほとんどの決まりは、スキルとメモリで足ります。フックが向くのは、「忘れると困り、機械的に確かめられる」決まりです。この記事を書いたパソコンに、自分たちで入れているフックは、作業の記録の2つだけです。
まとめ
Claude Codeのフックは、決まった場面で必ず動く確認の仕掛けです。手引きやメモは、AIが読んで従うものです。フックは、AIが忘れていても動きます。当社では、作業の記録という「忘れると困る決まり」だけをフックにして、判断はAIに任せています。
当社では、こうした仕組みづくりも含めて、AIを業務に組み込む開発を行っています。詳しくはAIエージェント開発・AI受託開発をご覧ください。
この記事の作り方
この記事の下書きと図は、AI(Claude Code)が作りました。フックの流れと割合は、当社で実際に動かしているフックと、その記録をもとにしています。人は、内容の確認と公開の判断をしました。AIで書いた記事についての当社の考え方は、AIが書いた記事はGoogleに評価される?にまとめています。



