Claude Code(クロードコード)の「スキル」は、AIに渡す業務の手引きです。仕事の進め方を一度書いておけば、AIは必要な場面で自分で手引きを開き、そのとおりに進めます。当社も、報告文の形、動画の作り方、危ない操作の止め方などを手引きにして、社内のAIに持たせています。
この記事では、スキルの仕組みを、実際の手引きの画面で説明します。あわせて、手引きのあり・なしで同じ依頼を比べた結果と、作るときの注意を紹介します。
先に要点を3つ挙げます。
- スキルは、AIに渡す業務の手引きです。 同じ説明を、毎回くり返さずに済みます。
- AIは、手引きの「説明文」を見て、出番を自分で決めます。 中身を読むのは、使うときだけです。
- いちばん役に立っているのは、「やってはいけないこと」を書いた手引きです。
Claude Codeのスキルとは:AIに渡す業務の手引き
たとえるなら、新しく入った人に渡す業務マニュアルです。報告の書き方を毎回口で伝えるより、マニュアルを1冊渡すほうが確実です。伝える側の手間も減ります。
スキルの正体は、SKILL.md(スキル・エムディー)という文章のファイルです。Claude Codeは、頼まれた仕事に合う手引きを、自分で選んで読みます。人が名前を打って呼び出すこともできます。
公式の説明では、手引きの中身は使うときだけ読み込まれます。たくさん持たせても、ふだんの動きの負担になりにくい作りです。形式はAgent Skills(エージェント・スキル)という共通のもので、ほかのAIの道具でも使えます。
手引きの中身:「いつ使うか」と「どうやるか」
当社の「障害の報告を4行にまとめる」手引きを、そのまま開いてみます。

手引きは、上の囲み(1・2)と、下の本文(3)でできています。2の説明文には、「エンジニアに送るまとめを作って」「状況を報告して」など、頼まれ方の例を並べています。AIはここを読んで、今の依頼がこの手引きの出番かどうかを決めます。
いちばん小さな形は、次のとおりです。当社の手引きを短くした例です。
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name: houkoku
description: >
障害の報告を
4行にまとめる。
「報告を作って」
と言われたら使う。
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# 障害の報告
1行目:対象
2行目:操作
3行目:エラー
4行目:原因手引きが使われる流れを図にすると、次のようになります。

手引きのあり・なしで、同じ依頼を比べた
手引きがあると、何が変わるのか。この記事のために、評価用の例題を使って試しました。例題は、手引きが正しく働くかを確かめるために用意している、架空の相談です。出てくる人の名前やPRの番号も、架空のものです。同じ依頼を、手引きなしのAIと、手引きを持たせたAIに頼みました。

手引きなしでも、AIは丁寧な報告を書きました。見出しをつけて、お願いごとまで整理しています。内容に間違いはありません。ただ、21行・約580字あり、受け取った人が状況をつかむまでに時間がかかります。頼むたびに、形も変わります。
手引きを持たせたAIは、会社で決めた4行の形で返しました。エラーの文言はそのまま引用し、原因は「調査中。現時点の見立ては」と、まだ決まっていないことを分けて書いています。
おもしろいことに、どちらのAIも、頼んだ人にあてて「このエラーは、設定漏れでは起きにくい形だ」とひと言添えていました。手引きは、AIの考える力を変えるものではありません。書き方と進め方を、会社のやり方にそろえるものです。
当社が使っている手引きの例
当社では、仕事の種類ごとに手引きを作っています。
| 手引きの例 | 手引きに書いたこと |
|---|---|
| 伝える(障害の報告、経営者への連絡、やさしい日本語への言い換え) | 4行の形。起きていることだけを3行以内。1文は40字まで |
| 作る(動画、見積書と提案書の下書き、取引先の調べもの) | 構成を先に見せる。想定で補った所に印を付ける。専門機関の調査の代わりではないと書く |
| 守る(危ない操作をしない、公開の保管場所を勝手に作らない) | 取り返しのつかない操作は人がする。作る前に記録を残し、承認をもらう |
| 記録する(頼まれた仕事の記録) | 仕事ごとに、タスク管理ツールへ記録を残す |
動画の手引きの働きはClaude CodeでRemotionを動かすで、仕事の記録はAIエージェントの活用事例で紹介しています。
「やってはいけないこと」の手引きが、いちばん効く
AIの作業は速いぶん、間違えたときの被害も速く広がります。そこで当社は、取り返しのつかない操作を、手引きで止めています。
たとえば、サイトやドメインを預けているCloudflare(クラウドフレア)です。管理者の権限があると、会社のドメインや公開中のサイトを、数回のクリックで消せてしまいます。消したものは、元に戻せません。
手引きでは、次の4つを、頼まれてもAIが実行しない操作に決めました。ドメインの削除、契約の解約、メンバーの削除や権限の変更、アカウントの削除です。AIは代わりに、何が止まるのかと、画面のどこにあるのかを伝えます。ボタンを押すのは人です。手引きには「権限があること=やっていいこと、ではない」と書いています。
プログラムの保管場所(GitHub)も同じです。AIが保管場所を「公開」の設定で作ってしまうと、社外の人にも中身が見えます。手引きでは、作る前に目的などを記録し、人の承認をもらってから、非公開で作る順番にしています。
スキルを作るときの注意
- 手引きは、置いた瞬間から使われます。 当社では、作業記録の手引きを作ったとき、仕上げる前の版を置いた時点で、ほかで動いていたAIの作業が使い始めました。公式の説明でも、置いた手引きは作業の途中でも読み込まれます。試しの版は別の場所で作り、仕上がってから置きます。
- 説明文に、頼まれ方の例を並べます。 説明文があいまいだと、AIが出番に気づきません。
- 例題で確かめます。 当社には、例題と、期待する答えの形を用意している手引きもあります。この記事の比べ方も、その例題を使いました。
- 古くなったら直します。 会社の目標を書いた手引きは、期が変わると古くなります。この記事を書くために見直したところ、前の期の目標のままの手引きが見つかりました。
- 秘密は書きません。 手引きは、配るものです。パスワードやお客様の情報は書きません。
よくある質問
スキルを作るのに、プログラミングの知識は要りますか
要りません。中身は、ふつうの文章です。AIに「この手順を手引きにして」と頼んで、下書きしてもらうこともできます。Anthropic(アンソロピック)社も、手引きづくりを手伝うスキルを公開しています。
何から手引きにすればよいですか
毎回、同じ説明をしている仕事からです。報告の形、言葉づかいの決まり、やってはいけない操作などです。公式の説明でも、同じ指示や手順を何度も貼り付けているなら、スキルにする時だとされています。
手引きは、社内でどう共有していますか
当社は、手引きを会社の非公開の保管場所にまとめて、社員のAIに配っています。同じ手引きを、別のAI(OpenAIのCodex)でも読めるように、表示名などの設定も添えています。
まとめ
Claude Codeのスキルは、AIに渡す業務の手引きです。書いておけば、AIが出番を判断して、会社のやり方で仕事を進めます。守りの手引きを先に作っておくと、AIに任せる範囲を広げやすくなります。
当社では、こうした手引きづくりも含めて、AIを業務に組み込む開発を行っています。詳しくはAIエージェント開発・AI受託開発をご覧ください。Claude Codeの始め方は、Claude Codeを非エンジニアが使った実例にまとめています。
この記事の作り方
この記事の下書きと図は、AI(Claude Code)が作りました。手引きの画面は、当社が実際に使っている手引きの冒頭です。あり・なしの比べは、この記事のために、評価用の例題(架空の相談)で動かした結果です。人は、内容の確認と公開の判断をしました。AIで書いた記事についての当社の考え方は、AIが書いた記事はGoogleに評価される?にまとめています。


